グリニッジ王立天文台で、時間の歴史を学ぶ

イースター休暇2日目はあいにくのお天気。
今日はウィンザー城に行く予定を変更して、グリニッジ王立天文台へ!
経度0度、世界時間の基準となっているグリニッジ子午線をまたぎにいってきました。
これが予想外に面白い場所だったんです。

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グリニッジ天文台のある海港都市グリニッジは、
実は世界標準時と子午線で世界文化遺産に登録されています。

Bank駅から30分程度で着くCutty Sark for Maritime Greenwhich駅を降りると、
すでにそこは世界遺産なわけです。

駅を降りて人の波に乗ると「カティサーク号」という大型帆船に出会います。
グリニッジ天文台に行く前か、行った後で、是非寄ってみてください。

積載量よりもいかに早く運ぶかを重視したクリッパーという帆船で、
中国からイギリスへ「紅茶」を運んできていたので「ティークリッパー」と呼ばれています。
その中で、19世紀に圧倒的な早さで世界に名を轟かせた高速運搬船がこのカティサーク号です。

1951年頃から保管展示されていたものの、
2007年5月に、改修のために放置されていた掃除機の電源からの失火で1割が焼失。
その後5年の歳月と65億円をかけ復元され、内部は博物館になっています。

このカティサーク号とグリニッジ天文台の両方に入館する場合は、
どちらか最初に訪れたほうで
「Combo ticket(コンボチケット,)£18.5」を買うと、個別に
買うより4.5£もお得です。

そのカティサーク号から一度駅の方に戻って15分ほど歩くと、グリニッジ王立天文台に到着です。

入り口には世界標準時館を刻む時計があります。
グリニッジ天文台は皆さんよく聞いた事があると思いますが、
経度0度、そして世界の時間の基準となるのがこのグリニッジ天文台。

オーディオガイドが無料なので、日本語はありませんが、
せっかくなので借りるのをお忘れなく。

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入場すると長蛇の列。
グリニッジ子午線をまたいで、写真を撮る事ができます!
絵になる正面は長い列ですが、モニュメントの裏側は人気ゼロ。穴場です。

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先の運搬船カティサーク号にも通じるのが、グリニッジ天文台。
17世紀のイギリスでは、船が位置を見失ってしまったがための、
遭難事故、沈没事故が多発していました。

船が自分の位置を知るためには、経度と緯度が必要ですが、
南北に走る緯度は星の位置から割り出せるものの、経度を知る術がありませんでした。

しかし、船による貿易を発達させ、船上の戦いを制覇し、
国を繁栄させるには、どうしても海上技術を発展させる必要がありました。

そこで、大規模な沈没事故をきっかけにイギリス政府があるおふれを出します。

「経度問題を解決したものには2万ポンドの賞金を出す!!」

アイデアの一般公募です。
その賞金目当てに、へんてこなアイデアが沢山出て来て、
そのいくつかが博物館の中で紹介されていました。

一番興味深かったのが「Powder of sympathy(共鳴の粉)」というもの。

調べてみると「Powder of sympathy」とはもともと17世紀、
傷ついた兵士を癒すために用いられた一種の傷薬。
面白いのが傷薬を兵士ではなく、兵士を傷つけた「武器」に塗布するのです。
類感呪術という、互いに似たものは共鳴しあうという信念に基づいており、
武器を癒す事で、兵士の傷口が治癒するとされていました。

日本でいうところの、藁人形にカンカンと釘を打ち付ける丑の刻参りですね。

この効能を利用して、陸地の時間を、
遠く離れた船上で計ろうというアイデアが出たわけです。

というのも、陸の正確な時間がわかれば、
船上の時間差を計る事で、船が何度進んだか分かるからです。
(360÷24で、1時間の差は15度に値する)

どんな方法かというと、ひどい話なのですが、
船を出航するまえに、犬をナイフで傷つけます。
その犬の傷がなおらないうちに船に乗せて、傷つけたナイフは陸地に残します。
犬とナイフは、兵士と武器の関係ですね。

そして、陸地に残った人が、毎日12時きっかりに、ナイフを共鳴の粉に差し込みます。

するとそのナイフによって傷つけられた犬の傷口が癒えるわけですが、
共鳴の粉による治癒は多少の痛みを伴うため、
遠く離れた船の上にいる犬が、12時なるときゃんきゃんと吠えます。
船長はその犬の鳴き声で「おぉ、陸地は12時か」と知る事ができるというわけ。

もちろん、その方法は全く役に立たないことされたとか。

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そんなこんなで色んなアイデアが出た中で、
月とその他の星の位置関係から、経度を割り出すことができるという考えが唱えられました。
これを実現するには、天体観測ができる研究所が必要。
そこで、当時貿易港として栄えていたグリニッジに天文台が作られたというわけです。

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天体観測室「オクタゴン・ルーム」。
はしごにかけられたテレスコープ(望遠鏡)を、
あらゆる角度に向けることができるように、縦にとーっても長い窓が設置されています。

この望遠鏡、かがむと覗くことができます。

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階下の展示室では、時間の歴史を知る事ができます。
これが以外に面白い!

だいぶいいかげんな解説で恐縮ですが、
昔々その昔、時間を知るために太陽の光が用いられていました。
石に鉄が打ち込まれたもので、これを大きな建物の上に設置して時間を知ります。

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そして村が栄えてくると、お祈りや集会をするために、
皆で同じ時間を共有する必要がありました。
その時に作られたのが、中はぜんまい式のこういった大きな時計。

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さらに、移動手段が発達してくると、隣の都市に行く事も容易になってきました。
国全体で同じ時間を共有する必要がありますので、国の標準時ができ、

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さらに、世界で大規模なカンファレンスが行われることをきっかけに、
世界の標準時ができました。
移動手段や国の発達とともに、時間が整備されてきたわけです。

世界中の時間を当たり前に知れる今ですが、
ここに来るまでは色んな人の苦労や色んな出来事があったのだなと、
スマホの時計をみながら感謝しました。

ちなみに、この天文台の上にある赤い玉も時計で、1時になるとストーンと落ちます。
貿易で栄えていたグリニッジの街を行き交う貿易商や船員たちに、
時間を知らせる役目があったのだそう!
せっかく1時頃にいたのに、知らなかったので見逃しました。きぃーーー
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Categories: 観光・旅行

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